オンデマンド印刷の色味について
オンデマンド印刷はその特性上同じ印刷データを使用しても全く同一の色にはなりません
オンデマンド印刷は低価格の小ロット印刷にも対応可能で、短納期で作成が可能という特徴がございますが、一部色の再現性について厳密にできない制約がございます。
全く同じ印刷データを利用しても、印刷時の気温、湿度、用紙、印刷機の稼働時間などによって出てくる色味が微妙に異なることがあり厳密に同一の色を再現することが出来ない場合があります。
写真1:色味の変化
写真1は全く同一の印刷データを同じ日の午前と午後で印刷し分けた結果になります。
上段(A)が午前中に印刷、下段(B)が午後に印刷したものになり、午前のほうが若干濃度が濃くなっています。
同じ日に同じ印刷データで印刷した場合でもこのように色味の変化が出る場合があります。
※ 写真1の色味の違いは写真撮影時の光のあたり方の影響もあります。
色味の違いが出やすい印刷データについて
色味の違いが起こりやすい(見えやすい)印刷データの事例を紹介いたします。
CMYK掛け合わせの色
図1:CMYKの掛け合わせについて
印刷は絵の具のように色を混ぜあわせて色を表現します。
印刷ではC(シアン=水色)、M(マゼンタ=赤紫)、Y(イエロー)、K(ブラック)が基礎となる色で、図1のようにそれぞれの濃度を変えたり、組み合わせて色を表現します。(※図1では図をわかりやすくするためにKが入っていませんが、Kも使われます)
色味の違いに差が出やすいのはこのCMYKの色をかけ合わせた色になります。
例えばシアンだけで構成された色に1,2%の濃度ブレが起こったとしても目視ではわからないレベルですが、CMYKそれぞれに2%の濃度ブレが起こると合わせて8%分のブレが発生していることになります。
図1の(1)のようなCMYKそれぞれ単色より、(2)の2色、(3)の3色、4色とかけ合わせが増えるほど色味の変化が出やすくなります。
単色ベタやグラーデションの面積が大きい印刷データ
こちらは印刷機の傾向というより人間の視覚として単色ベタやグラデーションの面積が大きいほど色味の僅かな変化に気が付きやすくなります。
下にある写真のようにベタの面積が大きい写真の茶色部分(写真2)とベタの面積が小さい写真(写真3)とで比較すると面積が大きい方が僅かな色の違いでも差がはっきりと分かるように見えるかと思います。
また写真3のようにいろんな色が並んでいる場合、一つ一つの色味についての変化に気が付きにくくなります。
ですので複数の色や形状で構成されたキャラクター、デザインなどは単色ベタに比べると人間の目は色味の変化に気が付きにくい傾向にあります。
写真2
写真3
※ 写真2、3ともに同一のデータを(A)午前中に印刷、(B)が午後に出し分けた結果になります。
まとめ
これまで記載させていただいたように、オンデマンド印刷は同一のデータでも印刷のたびに全く同じ色味にはならない場合がございます。
特にCMYKの掛け合わせの色やその色のベタ塗り面積が大きい場合は色の変化を感じやすくなります。
再注文頂いた場合でも全く厳密に同一の色にはなりませんのでご了承の上ご注文下さい。
色味に不安がある方は色校正/試し刷りをご利用ください。
ただし、オンデマンド印刷機の特性上、色校正/試し刷りをご利用いただいても100%厳密に同じ色にならない場合もございます。
色味について厳しく、一切の妥協が出来ない方はオンデマンド印刷は不向きな印刷方式になります。